みどころ
明治十四年(一八八一年)三月、東京新富座で初演の河竹黙阿弥の傑作「天花粉上野初花」(くもにまごう うえののはつはな)から、今回は、文化時代の実在の人物、河内山宗春をモデルにした「松江邸玄関先の場」を朗読歌舞伎で上演します。黙阿弥の得意とする心地よいセリフの流れをお楽しみください。
あらすじ
お城の茶坊主、河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)は、知り合いの上州屋に娘を取り返してくれと頼まれ、身分を上野寛永寺のお使いと偽って、大名屋敷にやってきます。寛永寺の威光を恐れた大名家では上州屋に娘を返し、宗俊を手厚くもてなします。
まんまと事をなして帰ろうとする宗俊を、家老の北村大膳がひきとめます。大膳はお城に出向くこともあり、宗俊の正体を見破っており、「騙り」として捕らえようとします。正体がばれてしまった宗俊は、それでも平然として「自分は将軍にお仕えする、いわば直参。大名家のものにとやかく言われる筋合いはない。と開き直ります。
そこへ、同じ家老の高木小左衛門が現れ、「家の恥を表に出さないため、寛永寺のお使いに失礼なことをするな」と大膳をいさめます。大膳は腹の虫がおさまりませんが、殿も出てきたため高木家老の言に従うしかありません。
宗俊はそんな様子に高笑いしながら、悠々と帰っていくのでした。
キャスト《2016春》
A | B | C | |
---|---|---|---|
河内山宗俊 | 力石 明 | 三縞 柚果 | 三宅 琥太郎 |
宮崎数馬 | 板倉 琉世 | 西村 千春 | 串橋 大芽 |
北村大膳 | 北島 剛希 | 飯田 織夢 | 田中 桜也 |
黒沢 | 福士 加恋 | 上塚 虎之介 | 今井 美甫 |
米沢 | 伊藤 才太朗 | 高田 優翔 | 柴田 一花 |
大橋 | 近藤 月琴 | 岡田 凱 | 沖山 紗梨 |
堀江 | 木村 海翔 | 田中 佑典 | 大塚 愛桜 |
高木小左衛門 | 和泉 一真 | 玉置 晴菜 | 桑原 典史 |
2016春公演演目紹介《あらすじとみどころ/配役》
◆ 仮名手本忠臣蔵 〜三段目〜
◆ 河内山
◆ 釣女
◆ 茶壺
◆ 三人吉三巴白浪 〜大川端庚申塚の場
◆ 白浪五人男 〜稲瀬川勢揃いの場
◆ かっぽれ
◆ 口上