⚫︎演目の紹介
今回演じるのは、歌舞伎の名作「白浪五人男」の中でも重要な場面の1つ、「稲瀬川勢揃いの場」。物語のクライマックスを迎える場面です。
白波とは古来中国で「盗賊」を意味した「白波族」に由来し、泥棒の意味を持ちます。
今回演じる「稲瀬川勢揃いの場」では、悪事がばれて逃げる5人が、桜咲く土手で捕手に囲まれながら名乗りをあげる名場面です。5人それぞれの個性がよく表れた七五調の名セリフが聞きどころです。
戦隊モノの元祖「秘密戦隊ゴレンジャー」はここからアイデアを得たといわれます。
稲瀬川の水辺での鮮やかなアクションや、個性豊かな若者たちの心情の交流が見どころであり、その場に込められた情熱や友情が観客を引き込みます。圧倒的な迫力と美しさを持つ「稲瀬川勢揃いの場」は、歌舞伎の魅力を存分に味わえるシーンです。
⚫︎稽古の様子
今回、小学2年生から4年生までの5人が白浪五人男の役を演じます。3月のおさらい会を経て、彼らにとって今回が初めてとなる本公演へ向けて稽古に励んでいます。
5人は白浪五人男を演じるに相応しく、元気で賑やかなメンバーです。5月に配役が発表された際には、おさらい会とは異なる役に挑むことで、大いに盛り上がりました。先生からの要求もおさらい会の時より一段と厳しくなり、子どもたちはその要求に応えるべく必死に取り組んでいます。
たとえば、子どもたちにとって慣れない下駄を履いての演技は、正しい歩き方を身につけるだけでも非常に苦労が伴います。しかし、先生の丁寧なご指導のもと、子どもたちは所作の一つ一つを着実に身につけていっています。
さらに、本番に向けて動きの練習や台詞の発音の確認など、準備を進めています。踊りや演技の基礎の稽古にも取り組みながら、日々着実に成長しています。
⚫︎本公演に向けて
困難な場面もありますが、お互いに励まし合い、一体感を育んでいます。本番への緊張感とワクワク感が漂い、子どもたちはそれぞれの役に生命を吹き込もうとしています。
今回の本公演は、数々の歌舞伎の舞台で使用されてきた日本橋劇場で行われます。花道など本格的なセットが用意された最高の舞台です。子どもたちの日頃の稽古の成果が遺憾なく発揮されることを楽しみにしています。
また4年ぶりにコロナウイルスの制限がなくなり、お客さんがたくさん入った状態での公演になります。ご来場いただく皆さんも、ぜひ大向こうで一緒に舞台を盛り上げてください。
Reported by 保護者