梅雨寒の中、新人『釣女』組のお稽古も、本番までいよいよ折り返しを迎えようとしております。お稽古開始から、公演までが約二ヶ月半という短期間。その中で、発声、台詞、踊り、演技…と盛りだくさんの内容を習得しなければならないという、新人にとってはとてもハードルの高い夏の公演です。けれど、これまでの先輩たちもこうして公演に臨んできたのか、と思うと、「なせば成る!」と勇気をもらう新人組です。
さて、話は最初に戻りますが、渡された台本には振り仮名がありません。難しい読み方も多くあり、まだ漢字を習っていない一年生は一苦労。大名に対して太郎冠者が敬語を使うだけでも難しいけれど、それも、現代語でなく古語。一緒に仮名をふる親たちもまた、勉強になります!
チームには新人だけではなく、先輩もいてくれるため、先生替わりとなって教えてくれたりもします。先生のご指導はもちろんのこと、こうして同じ演目を演じる同士が助け合いながら、舞台を作り上げる子供たちの姿に、演目そのものだけではなく、自主性や協調性といったものも同時に育まれていく様を感じます。
もちろん、休憩時間は楽しく過ごします。様々な地域から集う子供たちですが、こども歌舞伎の仲間と会えるお稽古を楽しみに通っています。学校の友人だけでなく、こうして別のコミュニティーがあることで、世界が広がって豊かな時間を過ごせていると思います。
この日は演目のお稽古が連続して3コマという長丁場。お休みの子の代役で、醜女を3回演じた1年生ののあ君はお疲れぎみ。それでも、おばあ様とお父様の激励を受けて、最後は大きな声で頑張っていました。気がつけば、お稽古を続けるうちに、1年生たちは体力もついてきたようです!
お稽古の中では毎回課題が出されます。次回までに台詞を覚えよう、もっと大きな声を出そう、ひとつでも踊りをマスターしよう、と各々が自宅でも取り組んでいます。回数を重ねるごとに成長する姿に、親にとっても毎回小さな感動があります。こうしてともに成功体験を積めることも、子供たちとともに我々親も頑張っているご褒美なのだと思います。
指導してくださる辰蔵先生と、寿々彦先生も役に分かれて丁寧に実演で動きを指導してくださいます。次のお稽古までに少しでも先生の踊りに近づけるように、子供たちも真剣です。
はじめはどうなることやら…と不安ばかりが募るスタートでしたが、厳しくも優しい先生方のご指導と、たのもしい先輩たちの助けで、新人組も脱落することなくお稽古に励んでいます。きていただくお客様に、楽しんでいただける舞台を目指して、残り一か月、『釣女』組のメンバー全員で心をあわせてがんばります!
(Reported by 新人保護者)