伝創館こども歌舞伎・若草歌舞伎 父母会ご挨拶
~なぜ、我が子は「歌舞伎」を選んだのか/紐と帯~
第13期 伝創館こども歌舞伎・若草歌舞伎 父母会代表 川野輪智佳子
この度は伝創館こども・若草歌舞伎のホームページへお立ち寄り下さり、誠にありがとうございます。
私ども伝創館こども歌舞伎・若草歌舞伎父母会では、NPO法人日本伝統芸能振興会のご協力のもと、日頃のお稽古における子供達の支援や、年2回の公演の際の後援活動等を主として、設立当初より数多くの父母の皆様の御尽力によって運営されている会となります。
さて、「歌舞伎」のお稽古の父母会と申し上げましても、何やらその活動にはピンとこられない方も多くおられる事と存じます。野球であれば、朝早くからグランドで練習を見守り、合宿等の実施に伴っては、その段取りや同行等も行われるのではないでしょうか。また、バレエであれば、公演にむけた衣装作りのお手伝い、集客やチケットの配布等といったところでしょうか。
私どものこども・若草歌舞伎父母会の具体的な活動について、例をもってわかりやすく申し上げますと、例えば、お稽古時間中、正座をして指導を受ける子供達の横、同じように正座をして、その痛みを分かち合いつつ静かに見守るといった事から、春夏の公演等の時期においては、これぞ一大事とばかりに、中央区内での宣伝用ポスター貼りから、子供達と一緒に大道具、小道具作り等を行い、当日は裏方として楽屋をサポート、全身黒づくめの姿形で、まさに黒子といったところ。
他のお稽古に負けずおとらず、それはそれは、大変ではございますが、他に類を、あまり見ない(?)ユニークな活動内容となっているのでございます。
それでは、なぜ、そのような大変な活動にもかかわらず、皆様、継続をしているのか、それは、こども・若草歌舞伎というものが、私どもの紐帯となっているからだと思います。
① 子供たちの紐と帯
現在、こちらに在籍している子供たちは、上は高校生から下は小学校2年生、また、中央区だけではなく、板橋区、大田区、葛飾区、北区、杉並区、世田谷区、台東区、千代田区、練馬区、文京区、目黒区、小平市、西東京市等といったところから通っております。
このように学年を越え、地域を越えた形の集合体では、違っている事が「あたりまえ」の為、お稽古を通じ、切磋琢磨する事で、何やら、学校等とはまた少し異なる紐と帯の結びつきが生まれてくるようです。
② 先輩後輩の紐と帯
この世界では1日でも早く入門した人が、兄弟子と言われているそうです。年齢に関係なく、1期(半年)を終了した後は、以降入会してくる子供の「先輩」になる事となります。その後は先輩としての手本となる行為行動を求められます。それは、先輩となる子供自身がここで与えられる名誉であり、そして同時に、たゆまない努力を続けるといった覚悟を求められる事でもあり、子供たちは、先輩になる者であれば、さわやかな緊張を体験し、後輩は尊敬と憧れをもってつながっていきます。
③ 講師の先生方との紐と帯
講師の先生方はそれぞれ、この道のプロの方です。子供達は、初めて行う、日舞、礼法、ボイストレーニング、立ち廻りといった歌舞伎に通ずる基礎稽古に心躍らせています。先生方も心から歌舞伎を愛し、その想いを容赦なく子供達へ伝えて下さいます。
④ 保護者同士の紐と帯
お稽古の送迎や、その様子を見守る中、また、猛暑や極寒の中での宣伝活動や、公演当日のお手伝い等など、いろいろな作業の中を通して生まれる、保護者同士の助け合いの瞬間。紐と帯となって子供達の公演に、一丸となって笑い、そして涙する、それはそれは、親として胸に染みる瞬間の共有です。
子供自身の「歌舞伎をやってみたい!」というごくごくシンプルな想いから始まり、親御さんによっては「なぜ、我が子が歌舞伎を選択したのか?」と、半信半疑のまま、それでも、歌舞伎という美しい金襴豪華な帯をご縁の紐でしっかり結んだ私どもは、笑ったり泣いたり怒ったりしながら、日々、活動行っております。
さて、最後になりますが、歌舞伎は世界遺産として諸外国からも注目をされております。また、2013年は歌舞伎座の新開場が行われ、各地でのイベントも多く、歌舞伎イヤーともいわれております。私どもの伝創館こども・若草歌舞伎の活動にもご興味をお持ちいただけましたら、歌舞伎を通じた私たちの活動へのご参加・ご支援についてご検討を頂けましたら幸いに存じます。
最後になりましたが、今後も有意義な父母会行事を運営してまいる所存でございますので、皆様のご理解、ご協力を心よりお願い申し上げます。