ご挨拶

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先日富士山の世界遺産登録が話題となりましたが、「歌舞伎」が富士山と同じ世界遺産に登録されていることを、我々日本人のほとんどが知りません。オペラもバレエも世界遺産に登録されていません。その芸術の内で歌舞伎は唯一、総合舞台芸術として世界遺産に登録されている、日本が世界に誇るべき文化・芸術の宝です。

富士山が登録された時、各メディアは大きく取り上げ、富士山は我々日本人の誇りであると実感でき、再び富士山の存在の大きさを知ることができました。その一方で、歌舞伎は未だに特殊な芸術であると誤解されています。①歌舞伎は封建社会の武士と同様家柄で代々伝わるもの②歌舞伎は血筋で伝承するもの③歌舞伎は女性は舞台に立てない。この3つの誤解が、多くの日本人が歌舞伎を身近なものに感じられない大きな原因です。歌舞伎は本来、創世記の四百年前から戦前の七十年前まで、家柄や血筋、性別に関係なく庶民が護り育てた芸能です。しかし戦後、武家社会の芸能であった能や狂言と歌舞伎が混同されてしまい、この3つの誤解が生み出されました。歌舞伎は庶民である我々の文化ではないと思われるようになり、我々の感覚とは違う、別世界の芸術だと思われています。

伝創館こども・若草歌舞伎の子供たちや若者たちは、この日本文化の重要さを知り、未来へ継承する為に日々努力精進している次代の先駆者です。歌舞伎を後世に伝承する為、歌舞伎を益々発展させる為に、頑張っている彼らは日本の宝です。富士山と同じく、日本の誇りを護り育てる為の私たちの活動を温かくご支援くださいますようお願い申し上げます。

日本伝統芸能振興会 専務理事 竹柴源一