新人募集【1日稽古体験】レポート

10月6日の日曜日、2014年3月下旬の春公演にむけ、新メンバー募集に伴う「1日稽古体験」が、伝創館にて行われました。
体験希望者の数は小学校の1年生から6先生までの合計31名!外は涼しい秋模様の中、稽古場は大変な熱気で始まりました。

伝創館では普段からお稽古の準備として、浴衣を着て、これに扇子、手拭いを持つのが通常となっています。今回の体験でも、参加者のみなさまには浴衣をご持参いただき、希望者にはそれぞれ浴衣の貸し出しを行いました。稽古場で受付後、まずは浴衣への着替えからスタートです。着付けはプロの歌舞伎衣裳着付師でもある伝創館の専務の指導のもと、若草歌舞伎のお兄さん、お姉さん、父母会でお手伝いをいたしました。さて、さて、どんな1時間なるのか、楽しみです。

1006taiken-1浴衣の準備が整ったところで、1日稽古体験の講師である立花志穂(たちばなしほ)先生の登場です。志穂先生には普段は日舞をご指導いただいていますが、演目稽古では新人の登竜門「白浪五人男」の講師も長く務めてくださっており、ほとんどの子供たちが入会後初めての「歌舞伎」を志穂先生からご指導をいただいております。こども・若草歌舞伎の子供達の頼れるお姉さんであり、大好きな講師のお一人です。
和服姿に、にこにこ笑顔の志穂先生から「初めて浴衣を着た人~?」という質問が出ると、誰も手があがらず、「さすが日本人~!」みんな、浴衣を着た事があるのですね!

1006taiken-6続いて、歌舞伎についての簡単な説明ののちに、いよいよお稽古の開始です。
普段、伝創館こども・若草歌舞伎で行われているお稽古は、礼法(礼儀作法)、ボイス(ボイストレーニング)、立廻り(舞台での動き方)等の基礎稽古に、公演が近づくと演目のお稽古が追加されるような形式となっています。

稽古体験の最初は、礼法のダイジェスト版としてご挨拶の練習。
普段の生活では正座をしてご挨拶をする事はあまりないかと思いますが、歌舞伎のお稽古では、始まりと終わりに必ず、この形でご挨拶を行います。
1006taiken-4「挨拶はいろいろな事への感謝を表していて、お稽古場での挨拶としては、ここに連れてきてくださった親御さんへの感謝、また、この場にいられる事の感謝、歌舞伎には歴史があり、先人への感謝といった事等々、たくさんの感謝を込めて行いましょう。」と志穂先生からお話がありました。
続けて、実際にやってみる事に。
頭を下げたとき、頭が床についてしまうと、「土下座」になってしまう事や、挨拶の最中、お顔を上げるまでお話をしない、そうする事によって、気持ちを静める事が出来る等といった普段、あまり聞くことがない「挨拶」の奥深いお話を聞きながらのお稽古となりました。最後には、みんなそろって元気な「お願いします!」のご挨拶となり、とても素晴らしかったです。

1006taiken-21006taiken-5それが終わると、今度は発声の練習です。基礎稽古のボイストレーニングのダイジェスト版です。
今度は、みんな立ち上がり、大きな声で、
「あ~、え~、い~、う~、え~、お~、あ~、お~!」
緊張もあるのか、ちょっと声が小さいので、大きな声が出るようにと、志穂先生から顔の体操のご指導がありました。
「目と鼻と口を、顔の中心に集めて~~~」
集めた目や鼻、口を勢いよく、ぱっと緩めます。稽古場はすごい変顔に埋め尽くされましたが、そんなお顔の体操をするうちに不思議と声も出るようになりました。
続けて、鼻濁音の練習です。
「日本語が柔らかく聞こえるのは、この音のおかげです!さあ、いくよ~!」の掛け声とともに、「んがあ、んぎい、んぐう、んげえ、んごお!」これも上手にできました。
その後、炸裂音に、早口言葉の練習と続きます。
まずはゆっくり。「お~綾や~親に~お謝り~….」
ゆっくりであれば、なんとか、ついていけています?!
ペースを上げると、「おあやや、%&(+*?!$#...」
ちょっと難しいですね。
更に、これを、高い声で言ったり、低い声で言ったり。
普段、こんな話し方をしないでの、こどもたちからの笑い声がたえません。
こういう事がお芝居の稽古の楽しさでもあるのかもしれせん。

1006taiken-7さて次は、動きの練習です。
伝創館こども・若草歌舞伎では、男の子も女の子も性別を問わず男役になったり女役になったりします。演じる時は、姿勢、手の動きや歩き方、首の傾け方などでその役柄がどんな人物なのかを表現しなくてはなりません。今日は「女性の動き」という事で、男の子も女の子に変身する事となりました。
足を内股にして立ち歩きをするのはもちろん、手を袖にかくして、胸の前で交差をして、首を傾げます。このように、ちょっとしたしぐさや動きを変えるだけで、若い娘にもおばあさんにも、お姫様にも町娘にもなれるのです。女の子はより女の子らしく、そうでない人も、それなりに?!いえいえ、女形は女性以上に女性らしく見えますよね。これが歌舞伎の所作を学ぶ醍醐味です。
続けて、歩きの練習では、頭に扇子乗せて、しゃなりしゃなりと歩きます。
若草のお兄さん達は、扇子を落とさずに上手に歩き、よいお手本を見せてくれました。

あれよ、あれよと時間は過ぎ、最後に、お手伝いをしてくれていた若草歌舞伎のお兄さん、お姉さん達が、歌舞伎の演目「白浪五人男」の1部分を演じて見せてくれる事になりました。目の前のお兄さん達の演技や歌舞伎セリフの一つ一つを、みんな食い入るように見聞きしていました。

1006taiken-3その後、『捕手』と呼ばれる警察の役にみんなで挑戦することに!「うごーくなー!」「まーわーせー」など、歌舞伎独特のリズムで、大きな声でセリフを言います。グループに分かれ若草のお兄さん達に丁寧に教えてもらい、最後は全員で「白浪五人男」を上演!今日が初めてとは思えない立派な『捕手』ぶりに、自然と拍手が沸き上がりました。

伝創館こども・若草歌舞伎の初めての体験稽古、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。「歌舞伎って楽しいかも!」と、歌舞伎を身近な娯楽の一つとして感じていただけましたら幸いです。

※2014年春公演の出演者募集について詳しくはこちら