【演目紹介】朗読歌舞伎とは

「歌舞伎」と聞いたとき、みなさまはどのようなことを思い浮かべられるでしょうか。

豪華な衣装?派手な隈取メイク?大胆な見得や大きくはねていく六方?

もちろんそれらは歌舞伎特有の重要な要素ですが、歌舞伎のとても大事な要素として「音」があります。

すばらしい踊りは楽曲に乗せて、思わず声をかけたくなるカッコいい見得は付け打ちの迫力ある音とあわせてと、歌舞伎は様々な効果的な音に彩られています。

そしてもう一つの「音」。それは役者が自分の体で奏でる「セリフ」です。

知らざあ言って聞かせやしょう

 浜の真砂と五右衛門が

 唄に残せし盗っ人の

 種は尽きねえ七里ヶ浜

 その白浪の夜働き …

これは「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」通称「白浪五人男」浜松屋の場の弁天小僧のセリフの一節です。

声に出して読んでみると日本人には馴染みの深い七五調であることがわかります。また、芝居の舞台とからめた地名や人名、風物を織り込むといったセリフのおもしろさもわかります。

歌舞伎のセリフというのは単なる話し言葉ではなく、リズム感にあふれたものなのです。

冒頭に掲げたような歌舞伎特有の派手な要素を廃してなお歌舞伎らしさを発揮するセリフと、義太夫語りによる「音」の歌舞伎を、どうぞお楽しみください。

2016春公演演目紹介《あらすじとみどころ/配役》
 仮名手本忠臣蔵 〜三段目〜
 河内山
 釣女
 茶壺
 三人吉三巴白浪 〜大川端庚申塚の場
 白浪五人男 〜稲瀬川勢揃いの場
 かっぽれ
 口上